人類より個体数が多かったアメリカリョコウバトがわずか数年で絶滅したのはなぜか?



2014年9月7日

アメリカリョコウバトはかつて北アメリカ大陸東岸に生息していたハトの一種である。鳥類史上最も栄えた種と言われており、18世紀には50億羽ものリョコウバトがいたとされている。その隆盛ぶりはリョコウバトの群れが3日間空を覆い尽くした、大量のリョコウバトが止まって木の枝が折れた、などのエピソードからも窺い知ることができる。
しかし、1800年代には掃いて捨てるほどいたアメリカリョコウバトは1906年に最後の一匹がハンターに撃ち落とされてわずか数年で絶滅してしまったのである。

なぜ急激に個体数が減少したのか?

19世紀のアメリカ人口爆発

19世紀に入ると、アメリカの人口は、爆発的に増えている。5百万人から7千6百万人にたった100年で増えたのだ。アメリカの人口増大の原因は、農業革命と工業革命が起り、またヨーロッパの食糧難からアメリカに移住した人々が爆発的に増えたという事があげられる。

リョコウバトは美味であった

リョコウバトの肉は美味で食用にできたり、また脂肪からはバターを作れるなど有用であったため、アメリカ先住民の時代から利用されてきたと言われる。しかし19世紀に入りアメリカ開拓時代になると、移民してきた白人達による乱獲が行われてきた。もともと莫大な数がいたため、リョコウバト保護の対策などは行われなかったが、あまりに無制限な乱獲はリョコウバトの数を急激に減らす結果となっていった。

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繁殖能力が低かったリョコウバト

リョコウバトはその個体数とは裏腹に、繁殖能力がとても低い種だった。まず少数の群れだと全く繁殖できず、年にたった一度の繁殖期に一個体一つしか卵を産まないという種だったのだ。つまり種として「多すぎる個体」が存続を維持できる唯一の条件だった訳である。もしくはあまりに増えすぎた為に自然界がリョコウバトにそのような本能を与えたのかもしれない。

遅すぎた狩猟禁止令

239318981890年代にはその姿をほとんど見かけなくなるほどになってしまったリョコウバトだったが、ようやく絶滅を防ぐため狩猟禁止令など保護対策がなされた。しかしそれはすでに手遅れの状態だった。
森林伐採による営巣地の減少や歯止めのかからない密猟により、リョコウバトは狩猟禁止令もむなしく減少の一途をたどることになった。ついに野生のリョコウバトは密猟者により最後の一匹が殺され、動物園に保護されたわずかな個体もその数を減らしていった。そして最後に残った「マーサ」と名付けられた雌鳥が老衰で死亡したことにより、リョコウバトは絶滅という結末を迎えることになる。

最近ではリョコウバトの絶滅は人類による影響だけでなく、気候変動による自然な個体数減少も関わっているのではないか、とする研究もあるが、しかし人間による乱獲が絶滅を大きく促進させた要因であることを否定するのは難しい。私達はアメリカリョコウバトの例を教訓に、動物を慈しむ気持ちの大切さを再認識する必要があるかもしれない。

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Summary: 人類が一瞬にして一つの種でかつ人類より個体数が多い種を滅び去る力を持っている事が限りなく黒に近い事例であり、この件はより多くの人が知って教訓としたほうが良いと思われる。

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